本アプリケーションは、東日本大震災(2011年)の教訓をもとに設置された「災害時の診療録のあり方に関する合同委員会」が提唱する我が国の災害医療標準様式(災害診療記録及び災害診療概況報告システムJ-SPEED)に準拠して開発されています。同様式は熊本地震(2016年)で活用され、被災傷病者に継続的かつ効率的な医療を提供することに貢献しました。一方、熊本地震においては紙媒体による運用であったため、災害医療チームから提出されたJ-SPEED活動日報の調整本部における連日のデータ処理負担等が課題となりました。この教訓をもとに本スマートフォンアプリケーションが開発されました。 本アプリケーションを活用することで、被災地で活動する全ての災害医療チームの診療活動が即時可視化され、被災傷病者に対して効率的に医療を提供することが可能になります。 災害医療チームは遠隔地からの即時報告やJ-SPEEDデータのオフライン入力が可能になります。 被災地調整本部は紙様式のデータ管理から解放され、自動集計された情報を調整会議前に把握可能となります。 なお、J-SPEEDは、フィリピン国保健省と世界保健機関WHOが共同開発したSPEED(Surveillance in Post Extreme Emergencies and Disasters)をモデルに、日本版SPEED(J-SPEED)として開発されたものです。比日両国で有効性が確認されたことを受け、WHOはJ-SPEEDをベースにMDS(Minimum Data Set)という手法を開発し、2017年2月に国際標準として採用しました。フィリピン生まれ、日本育ちの国際標準には、今後、世界中の災害現場で被災傷病者の救護に役立てられることが期待されており、MDSの開発を主導した我が国には、本J-SPEEDアプリケーションを主軸にして引き続き関係国際動向も牽引することが期待されています。 本アプリケーションの使用にあたっては、J-SPEED情報提供サイト(https://www.j-speed.org/ )を事前にご参照ください(操作方法などが掲載されています)