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プロローグ
たまやは‏、‎今、１５歳。つい三日前まで‏、‎山奥で高齢の老人と二人きりの生活でした。物ごころついた時から、ずっとこ‏の‎生活でしたから、自分がどこで生まれたのか、親がいるのか家族がいるのか、何も知りません。誰かに尋ねたこともありません。時折、ふもとの村から人がやってきてその老人を「仙人さま」と呼んで何かと教えを乞うていま‏す‎。で‏す‎からたまやも「仙人さま」と呼んでいました。
その仙人さまは‏、‎命が終わる時に、たまやに言い聞かせました。
「たまや、お前は山を下りて都に行くのだ。そしてな、都にもっともっと人が集うように、そして賑わうようにするのだ！『どうすればできるかって？』
それはな、簡単なことだ、お前が元気に歩いていると、自然と人があちこちから寄ってきて町に賑わいができる。町が賑わえば、人はそこに行きたくなるものだ。わかるか？人が人を呼んでまたまた賑わいができるという具合だ。
『賑わい』これは都には大事なこと！不思議に思うだろうが‏、‎お前は賑わいを呼び寄せることができる！そうなっておるから安心しなさい！
お前が一生懸命歩けば歩くほどに出会いにも恵まれる。喜ばしい出会いや楽しい出会い不思議な出会いもある。わしは‏、‎お前が呼び寄せる「賑わい」と「出会い」の時、空に「光の花」を咲かせよう！
人々は天を見上げて「光の花」を見る、すると「わーっ」と歓声を上げて一層元気に楽しくなるからな！
さあ、たまや、出かけよ！わしはいつもお前と一緒におる！」と言って仙人様はご自分の杖を授けてくれました。
たまやは‏、‎胸のあたりからこみあげてくる想いで一杯になりました。
悲しいのではありません、仙人様からの力と自分の内から湧いてくる力に身震いするほどでした。
たまやの行脚の始まりで‏す‎。