独特の世界に耽溺したいなら此処に有る! 日本語訳の美しい主人公のダイアログが魅力的。ハイセンスな夢遊空間が聴覚や視覚を擽り、家族に抱く感慨の中での理知的な謎解きがストーリー・イメージを増幅する。テーマは重いけど超克の展開は清々しいので引き摺るタイプの心情では無いので、言葉の持つパワーは奥深いと感動させる傑作。膨大なテキストや写真が悲しき二人の物語を重層的に深める「White Night 」も馴染む方は抜け出せなくなる名作だけど、私が最近とても気に入っている「Chants of Sennaar」も言葉が凄い(このゲームの方は性質的に英語でプレイする方が良い気がする)。様々な文化の息吹を旅情に感じつつ猫背の滑稽な主人公は通じない言葉を収集、それが理解できた時自己のすべき事を発見するのだが、これが癖になる快感を伴う達成感!細部まで完璧に作られた情景やキャラクターの仕草、堂々巡りにならないよう見事に構築されたバランスのフィールドなど全てが最高の序中盤(終盤になるとハイレベル・ユーザー向けの難解・茫洋アドベンチャーと同様に私ごときでは解けないゲームに変わってしまいます)。攻略サイトがある限り、難易度が低くてセンスの良い余暇を楽しむ為のゲームは減少して、サイト頼みのプレイ補償的苦渋ゲームが増加するばかり。ホント「Almost Gone 」、アタマとココロに心地良いゲームは貴重です。